【アルバム】
“UKULELE SUMMIT 2”
〜Bob Marley カバー集2〜”

 
MECI-25152 定価¥2,500 2000.6.21

1.Nod To Bob/MARK CASS WITH UKETOPIA
2.Real Situation/MARK CASS WITH UKETOPIA
3.Exodus/WILLE K
4.Guava Jelly/KA'AU CRATER BOYS
5.Positive Vibration.AIF/DANIEL HO ※Instrumental
6.No Women No Cry/PURE HEART
7.nice Time/SHEP STERN
8.One Cup Of Coffee/JIM BELOFF
9.Buffalo Soldier/MAACHO
10.Burnin'&Lootin/DANIEL HO ※Instrumental
11.Easy Skankin'/KANALO
12.Turn your lights dowm…/RICK CUNHA ※Instrumental
〈全12曲〉

 "Ukulele Summit"シリーズの第1弾をレコーディングして以来、1年ぶりにハワイに足を踏み入れました。前回の第1弾が好評だったので、第2弾を制作しようという話しになり、今回は旧友との絆を深めかつそこから新たな友達の輪を広げ、アロハの安らぎとそしてディープなBob Marleyの世界に浸ってみることにしました。
 私がJim Beloffに会う為にLos Angelsに立ち寄ったところから"Ukulele Summit 2"
の制作は始まり、その頃のLos Angelsでは何週ものあいだ猛烈な雨が降り続いていました。
私自身、Jim Beloffの事は、彼のウクレレ本やレコードを通じて知っていただけで、1度もお会いしたことはありませんでした。彼の音楽はクラシック・ティンパンアリーから影響を受けていて初期のMarleyの曲に近いものがあり、その理由から彼にお願いするのは初期のMarley(1963年)の曲"One Cup of Coffee"に決定しました。この曲はもともとテキサスのClaude Gary(1961年 U.S.)にMarleyがプレゼントしたもので、かの有名なカントリー・ヒット"I'll Just Have a Cup of Coffee(Before I Go)"です。今回はその曲をJimがのんびりとギターをつま弾きながら歌い、そこにSimeon Pillichがアップライト・ベースを加え、Rick Cunhaがハワイアン・ラップ・スティール・ギターを弾いています。さらにそこに先日からの降りしきる雨音の微妙なメランコリー・タッチが加わって...。この曲はめぐりめぐり再びカントリー・ソングとして甦えったようでした。
 ビーチに住んでいるShep SternがSimonのエリクトリック・ベースをふき込んだだけのウクレレ・ソング"Nice Time"にヴーカルをふき込み、最終仕上げの要素としてコンガ、ボンゴ、ドラムキット、ドラムマシーン、サンプラーなどの中からどれかを選んで使おうかと考えた結局、結局一番ぴったりはまった手拍子だけを入れることにしてこの曲は完成しました。
 Rick Cunhaの家とスタジオは100年のハワイの歴史を彷彿させる物でいっぱいです。素晴らしいアンティーク・ウクレレ、ギター、スティールギターや往年のミュージシャン達の写真。そしてその中には彼の祖父:Sonnyがウクレレとクラシック楽譜(オリジナル)を手にしている写真もあります。そしてRickは、大切そうにWeissenbornのアコースティック・スティール・ギターを取り出してきました。それがまさに彼が"Turn Your Light Down Low"で使用していたギターです。Rickがプレイヤーから流れているその曲に併せて、先程取り出してきたギターで演奏を始めました。彼の指から作り出されるその美しい旋律はハワイのアコースティック楽器(ウクレレとギター)がまるでダンスをしているかの様でした。
 外ではまだ雨が降りしきり、みずしぶきが上がっていました。私はハワイに行く準備をしながら、"Tigerがカヌーでハワイに到着する頃と時期がぶつかればいいなぁ"と考えていました。
 ハワイに帰ってきてからの10日間は、Tracy Terada,Pure heart、Kanaloと曲の制作にとりかかる為にオアフ島西方のウインダード・シュアにあるFour Strings Ukulele Studioにこもっていました。Four Strings Ukulele Studioには新しい設備が導入されていました。Pure Heartも新しいリードシンガー:Guy Cruz(Kaユau Crater BoyのErnie Cruzの兄弟です。)を迎え、そのボーカルはJakeの自由奔放なウクレレをうまくソウルフルにまとめていました。一方Kanaloはとっても熱意があるバンドで、これからどんどんスタジオ経験を積んで成長していくと思います。6曲目と11曲目の収録効率の良さはこうしたKaneoheでの充実した夜々のお陰です。
 その頃、オアフ島の反対側に位置する山頂のスタジオではWillie Kが"Exodus"にまるでコルクの栓を抜いてシャンパンがあふれる様な、そんなマジックをかけていました。彼はトラックを幾度にも重ね、自ら楽器を演奏し、そして個々のパーツをどんどん美しく絡み合わせて行きながらだんだんと曲にしていきます。そんな様子を観ていたエンジニアのMilan Bertosaと私は、『どうやって?』と最初は首をかしげましたが、そのうち我々の顔からはMilanを尊敬するべく笑みがこぼれ始めていました。一方、Willieも良い音を楽しみながら制作出来たことに満足していました。我々は、ここに神業的な才能があり音楽をこよなく愛すミュージシャンがいることを確信しました。最終にAmy Hanaialai'iのファイナル・ボーカルをバックグラウンドに入れた後、みんなで山を下りてWillieのお気に入りのレストランに行き、素晴らしいパラダイスでの1日に祝杯しました。
 次はMaacho。ちょうどセッションの二日前にホノルルのBlaisdell Centerで催されたBob Marley Dayという催しでメインバンドとして参加していたこともあり、すんなりと曲にとりかかる事が出来ました。Daniel Hoがバッキング・トラックとウクレレを担当し、Maachoはまるで長い間歌いこんでいるような完璧さで"Buffalo Soldier"のヴォーカル部分をふき込みました。
 Daniel Hoは、今もずっとAire Music Studioで曲を制作してきました。去年から数えて二つのウクレレが彼のコレクションに新しく加わり、彼の音はさらに良くなる一方です。Danielはいつも自分一人でプロダクションからパフォーマンスまで行っています。
 Ka'au Crater Boyは比較的にラクに制作することが出来ました。"Guava Jelly"はハワイで既に発売されているモBest of..."に収録されているので、"Ukulele Summit2"の発売前に世に出回っていました。そんなハワイでのTroyとErnieの"レゲエ・シーンに新しいウクレレ・サウンドお紹介していく"といった活動のお陰で、この曲は"Ukulele Summit2"にパーフェクトにフィットすることが出来たのです。この二人と、そしてRoy Sakumaさんに感謝します。
 その頃、我々は例の山頂のスタジオで、オープニング・ソングになるべくUkeTopiaの曲をやっとの思いで見つけ出していました。(いつも目の前にあったので、かえって気が付かなかったのです。)この"Nod To Bob"は一分間という短かくもジェントルなウクレレ挨拶で、それは同時に"4弦"へ尊敬の意を表しています。"Real Situation"ウクレレ、パーカッション、ハワイの言葉や、アコーディオンが一帯となる部分のソロの部分でそのメロディーがリピートされています。
これはWorld Musicなのでしょうか?たぶんそうではないかと私は思います。もしBob Marleyの音楽が、はるばるジャマイカからハワイや他の国々にメッセージを運ぶことが出来るとしたならば、それはWorld Musicと言えるのではないでしょうか?

"Ukulele Summit 2"を聴いてくれてありがとう。
またお会いする時まで、さようなら...。
Peace&Aloha

Mark Cass
Producer